ルナトリウム
文学部大学生♂・シュウのモラトリアム日記。詩(投稿自由)とか小説とかもありますよ。

今月読んだ本
・金井美恵子 『愛の生活』
・川上弘美 『センセイの鞄』
・澁澤龍彦 『犬狼都市』
・保坂和志 『この人の閾』
・松浦寿輝 『花腐し』

まあ全部面白かった。川上、澁澤、松浦は同時に入手したので、ぼくの主観ではさながら同一巻のなかにある三つの物語のように思われている。が、まさか三つ全部に、割と直接的にセックスの翳が落ちているとは思わなんだ。いや『犬狼都市』が多分にエロスを含有するのは知っていたんだけれど。
世代も違えば性別が違いもする三冊の本であるからセックスの描かれ方も様々だけれど、性というのは結構ありふれた素材である。それがために書き手の個性を問うわけで、単なるポルノには性の魅力を、やはりあまり感じられない。成年コミックを買うよりか、山本直樹を読んだ方がよっぽど興奮できるというものだ。
しかし松浦のエロスには恐れ入った。やはり文学者として長年やってきた人間が、歳相応の文章によってセックスを描くだけで、老獪さとかいやらしさをありありと客観性を以て表現できるものなのだ。エロの青臭さばかりを表現しようとしている場合じゃないのかもしれない、ぼくも。



  1. 2008/05/19(月) 23:25:10|
  2. 日記|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:6

  

コメント

はじめまして

はじめましてシュウさん。
少し前からこのサイトを拝見させていただいていた者です。
シュウさんにお聞きしたいと言いますか、アドバイスして頂きたい事があるのですが、よろしいでしょうか?
実は自分は文学に関しての知識は皆無なので恐れ多いのですが、例えば「人間失格」や「変身」などといった本を読むにあたって、どのような点に着目して読めばよいのでしょうか?
一般に名作と呼ばれている本を読んでも、何が伝えたいのか良くわからないのです。
たぶん読み方がなっていないのだと思います。。。
ですから何か作者の伝えたいことを上手く読み取る方法があれば教えていただきたいなと^^;
またシュウさんは本を読むときどのような事に注意して読みますか?
  1. 2008/05/21(水) 13:57:15 |
  2. URL |
  3. ユウト #wfC6SMes
  4. [ 編集]

はじめましてユウトさん。まさか自分に教えを請われる時が来たのかと緊張してます…アワワワ。

ぼくは、伝える必要というのを重視しません。最近のポップ・ソングは世の中に気遣ってか、やたら肯定的な歌詞を書きますが、生活がうまくいっていない人間がいたずらな肯定を受けてもイヤガラセにしか聞こえないでしょう。
作者が書きたいものが、伝達力や伝達すべきテーマを、必ずしも持っている訳ではないと思うのです。むしろ読者は、自分勝手に楽しんで「解釈」という自分だけの遊び場で「テーマ」をでっち上げられる権力者であると思います。
個々の作品というのは「既に存在しているもの」ですから、読む際には「全力で正解を読み取ろう!」と少し構えてしまいますが、むしろ居丈高に自分から楽しもう・征服しようと心がけて本を読むようにしています。ぼくはね。これはマンガだろうが映画だろうが共通して使っている姿勢です。正解なんぞは、読んで勝手に決めてしまえばいいんです。そうしていれば「名作」と呼ばれる作品の全てが、本当に名作として機能しているワケではないことが分かってきます。名作、名盤と言葉はいろいろありますが、そういう呼び名がつけられるワケというのは、単に若いファンに親切にしているためだけなのです。
説教くさく「面白く読む方法」を語らせてもらえるなら、例えばユウトさんが『人間失格』を読んで「こんなの、ただの甘えたがりが自虐して許してもらいたがってるだけじゃないか。何の意味があるんだ」とお思いになったかもしれない。でもそこで「甘えたがりに自虐をさせる必要が、この作品にはあるのじゃないか?」と、ポジティブにひねくれてみること。コレが出来るようになると、また違う考え方も出来るようになるかな、と思います。

ずいぶんごちゃついた回答になってしまいました。何かギモン・シツモン、単なる感想など何でもあったらお気軽にどうぞ!
  1. 2008/05/22(木) 00:01:18 |
  2. URL |
  3. 管理人 #-
  4. [ 編集]

横槍ですが。。。

シュウさんの意見に共感しました。
一般に名作と呼ばれる作品が、自分にとっても名作である必要はないんですよね。

ちなみに僕はカフカは好きですが、太宰はあまり好きになれません。

以前新聞に載っていたんですが、
今の若者の読書嫌いの一因は「読書感想文」にあるそうです。僕も感想文は嫌いでした。
「何か感想を持たなきゃ、伝えたい事を読み取らなきゃ」
と思いながらする読書はまったく面白くありませんよね。

ユウトさんも、一つ一つの作品を理屈っぽく考えるより、とにかく片っ端から読んでくことをお勧めします。

たとえば僕が安倍公房の『箱男』を読んで「なんだこれは!」と衝撃を受けたように、ユウトさんの心にも自然と引っ掛かる作品があるはずです。
そうして引っ掛かったものを掬い上げて、そこで初めてじっくり考えてみればいいと思います。

僕が教えを請われたわけじゃないのに偉そうにすいません。
つい気になってしまいました。
  1. 2008/05/22(木) 15:16:49 |
  2. URL |
  3. 水散る #QvfgIWC6
  4. [ 編集]

参考にさせていただきます

シュウさん、水散るさん、ご指導ありがとうございます^^
これからは正解は自分で決めてみようと思います。また、ポジティブにひねくれてもみます!
確かに僕は本を読むとき、自分が主体じゃなかったような気がします。本が主体でした。

あと、僕は昔の日本文学が結構苦手です(笑)
なかなか文体もかたくて疲れてしまいます。
これもやはりまだまだ読書量が足りないということなのでしょうか?
先日、「細雪」を読みました。でも読むのが辛くて100ページほどでやめてしまったのですが。

あの、もし読書初心者にオススメの本がありましたら、教えてもらえませんか?
  1. 2008/05/22(木) 19:11:11 |
  2. URL |
  3. ユウト #MgWaaTj.
  4. [ 編集]

>>水散るさん
コメントありがとうございますっ。いつぞ、こんなことをお話しましたね。たしかガスの『エレファント』についてだったと記憶してます。なにか気付いたり言いたい事を発見されたら、ガンガン横槍入れてくださいっ。

>>ユウトさん
どんな表現物にしても、経験値を強いるものってありますからね。ぼくなんかは、谷崎が書く耽美的に鉱物的な筆致には、どうしようもなく惹かれてしまいます。

ぼくの活字の入り……中学のときくらいに読んで、素直に面白いと思ったのは、北村薫の『スキップ』ですね。コンセプトが同じ『ターン』『リセット』なども有名ですが、『スキップ』が図抜けてイイです。
文体がライトであって、なおかつぼくが好むのは吉本ばなな、とりわけデビュー作の『キッチン』です。コレは高校のときに出会って以来ひんぱんに読み返しています。表題作ももちろんのこと、単行本に収録されている『ムーンライト・シャドウ』も傑作です。ほんの少しマイナーになることを許してもらえれば、佐伯一麦(さえきかずみ)というひとの『ア・ルース・ボーイ』も圧倒的に面白かったです。読みやすいのですがテーマ自体はとてもなまぐさく、読み応えがありました。
以上、あくまでぼくの趣味に根差した助言でした。

ぼくが文体として憧れるのは三島とか澁澤龍彦ですが、この人たちは莫大な語彙を緻密に組み合わせて、カタい(硬い/堅い/固い)文章を書くので、あまり入りには向かないでしょう。ちなみにぼくが「小説家」の理想と掲げ尊敬しているのは古井由吉という作家なのですが、この人はすこぶる読みづらいので今は手をつけるのはオススメしません。

(例えば読書のように)そのフィールドに慣れてくると趣味は変わってくるものですが、適当な間を置けたな、と思ったら、ニガテだったものに再度手をつけてもいいと思います。もしかしたらそのときには、ユウトさんが楽しみ方を見つけられているかもしれませんから。「楽しみ方」という概念は不可欠だ、とぼくは思ってるんです。
どういうことかといいますと。
たとえば、自分は「売れているもの」が好きではない。でも売れているということは、それを好きな人が多くいるということ。それは、自分が「売れているもの」の楽しみ方が分からないことでもある、と思ってるんですね。
そこをもっと突き詰めていって「楽しみ方が分からないんじゃないっ、ソレは出来が悪いんだっ、出来が悪いのに売れているんだっ」と、他人に納得させられるだけ説明できるとき、その人は「批評」ができる、と言える。そう考えてます。そうなれば納得いく鑑賞には、近づけているんじゃないかしら。

やたら文が長いですね。ちょっと滝に打たれてクールダウンしてきます。
  1. 2008/05/23(金) 10:47:34 |
  2. URL |
  3. 管理人 #-
  4. [ 編集]

シュウさんが紹介してくださった本の中から何か読み始めてみようと思います。
そして行く行くはシュウさんのおっしゃる澁澤龍彦や古井由吉といった作家の作品も楽しめるような読み手に成長できたらなぁと思います。
また、慣れてきたら谷崎などの純文学ももう一度読んでみようと思います。
水散るさんのおっしゃていた「箱男」も機会があったら読んで見ますね。

水散るさんも、シュウさんも、文学初心者の僕に色々と親切に教えていただき、本当にありがとうございました。
  1. 2008/05/24(土) 11:58:15 |
  2. URL |
  3. ユウト #MgWaaTj.
  4. [ 編集]

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