ルナトリウム
文学部大学生♂・シュウのモラトリアム日記。詩(投稿自由)とか小説とかもありますよ。

東清高さんが下すったコメントを受けて。
ぼくは『寄生獣』は、どこまでいっても日本マンガ史における「名作」のひとつだと思うが、あの作品の凄いところは、「博愛」の欺瞞性を暴きつくすことで博愛のかたちを見出さんとしたところだと思う。コメントに頂いたように、殺人鬼・浦上は「どうして人間は暴力をガマンできるんだ」という旨の発言をする。
誤解を恐れず言うなら、フィクションか否かは関係なく「イジメ」は楽しいと、ぼくは思う。自分より弱い存在に、自分の能力を見せつける行為というのは、ひとの客気を見事にカタルシスへと昇華させてしまう。それは錯覚だ、とは露も思わない。それは純粋な喜びでありえる。
ただ、自分の中に生まれる、まじりけの無い悦びと、他人が受ける苦しみを、どこまで同次元のものだと思えるかが問題になる。この概念は確実に必要であるし、持たざる者は低劣であり続ける。勿論そこまで踏み込むと、たぶん美談は無力で、とても面倒で神経が細る思いをしなければならなくなる。
それが一種の試練であるところぐらいにしか、人間が人間である意義なんてものは無い、などと偉ぶって言えるかもしれない。
エサを吊るされた時にどれだけガマンできるか、考慮に時間を割けるかは、人間のステータスなんじゃなかろうか。

『ソドムの市』については……あれほど針を振り切っちゃうと、シリアスに見えなくなる危険というのが出てくるものですよね。少なくともぼくには、ある種のギャグととれてしまう箇所が多くて……。
物語におけるリアリティというのは、どれだけ現実に即しているか、ではなく、あくまでも、どれだけその物語を現実として捉えられるか、だと思うんですが、ぼくはあれを思い切り現実とは捉えられず。もちろん露悪性だけでいうならバッチシ「悪意」のカタマリだと思いますね。



  1. 2008/05/02(金) 21:59:29|
  2. 日記|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:5

  

コメント

遅れてすいません。
寄生獣については岩明均自身が、一人歩きをはじめていった物語やキャラクターたちと
併走併歩しながら、自分が作っていったものに教えられるような形で、
発見し広げていったような印象を受けるんです。
言葉は悪いですけど完成度の高い即興を観た時に感じるような得もいわれぬ高揚感を覚えます、僕の場合は。
選んだ題材に内包しているものに対する感度が鋭かったし、そのプットアウトが実に無駄がなく機能的だったなあって思います。

また起承転結の非常にしっかりとした、
破綻のない物語だったっていうのがまたすごいなって。
きっと岩明さん自身が確固とした「世界」として
登場人物の前に立ちはだかってからなんでしょうかね。
物語を書く上では基礎なのかもしれないんですが、
制約の中の生き物って個性的な動きをするんですよ。リアリティーも出やすい気がするし。
だから描き方としてすごく健康的だと思いますね。
こういう残酷な出来事を起こすよ、お前はどう思う、どう動く?っていう。
その上「風子のいる店」の日和のある雰囲気が残っているとなれば、奇妙な平穏感をも漂うよなあって。

多分、その混じりけのない悦びと、他人が受ける苦しみが同次元で反応しあう瞬間ってそんなに長くないと思うんですよ。
それを知っていてあえて自分を保ちながら悦びと距離を持つ人、
何も知らずに悦びに浸る人がいて。
でもどちらの方法をとっても、その後はなかなか辛いような気もします。
反応しあった記憶っていうのはなかなか強烈な魅力を持ってますから。
展望がない状況でエサを我慢できる人は、本当に強いなと僕は思います。
何か全然食い違った話してますかね笑、すいません。

「ソドムの市」はごもっともです。
どちらかというとパゾリーニの怪死の方が怖かったです。
ああいう類のものを見ると僕の感受で厄介なのが、現実的とは捉えられないからこそ、
登場人物の映画に映らない私生活を想像してしまうことがあって。
映画では一瞬出てきて殺されてしまうだけでしか出てこないけれど、彼にはこれまでの人生があって、親も妻もいて愛されていて‥と考えていやに引き摺るっていう、後味の悪い感触が残りますね。

「ゆめにっき」は僕も某動画サイトで寝る前に見てました。あれはいいですね。
「LSD」より断然ツボです。
「洞窟物語」等、やったことないものばかりだったので、(元々フリーゲームをほとんど知らないです)プレイするのが楽しみですよ。お勧め、ありがとうございました。
  1. 2008/05/07(水) 03:16:43 |
  2. URL |
  3. 東清高 #e6mArcUg
  4. [ 編集]

岩明均の魅力は、ストーリーテリングの見事さですよね。作中起きることのほとんどに必然性が見て取れて、すごく「堅い」面白さになって、確実に読み手に伝わってくる。
物語を数値化したときに、数値の増減をどれだけ明確に受け取り手へ伝えられるか、っていうのがストーリーテラーの技だと思っているんです。それを分かってもらわないと、作品を理解してもらえないので。岩明氏の作品はそれがすごく分かりやすいのに、起こっている事件やアクションがあまりに複雑だったり相乗によって成り立っていたりするところだと。ハイ。
ちなみに恐怖を純粋に味わえた映画といえば、やはり『2001年宇宙の旅』が挙がります。
  1. 2008/05/12(月) 10:02:22 |
  2. URL |
  3. 管理人 #-
  4. [ 編集]

ああ、その通りだと思いますね。
シュウさんの評論は曖昧なところがなくて感嘆します。思っているんだけれど、言葉にできないこと、それを簡潔なまでに表現してくれる。
能力か努力の賜物か、色々あると思いますが、
シュウさんの順応力はこれから役立つことが大いにあるんじゃないかって恐れ多くも思います。
こういうところでも魅せてくれますね。

純粋な恐怖っていうのも少し難しいですね。
多かれ少なかれ雑念は入ってくるので、
確かに「2001年宇宙の旅」の名前は忘れましたがあの機械との息を飲む静けさは、
恐怖でしたね。僕は高揚していたかもしれない。
そういった意味では「暗くなるまで待って」も
自分にとっては純粋な恐怖だったかもなあと。
SFではやっぱり僕は最終的に「惑星ソラリス」に戻ってきます。
自分の人間性からしてもとても分かりやすい趣味なんですが、笑。

何かあのー、ここで告白すると
僕は社会的にかなり不適合な人間です。
そういう感が満載の隠れ蓑サイトをずっとやってたんですが、そろそろ人目にさらしたいなって
思いました。
私事ですみません。
あまりにも更新しなかったのでお蔵になってたんですが、
よかったらリンクさせてもらってもいいですか?
しがないサイトですが‥
前から勝手にURL貼ってました、ごめんなさい。
  1. 2008/05/15(木) 05:06:01 |
  2. URL |
  3. 東清高 #e6mArcUg
  4. [ 編集]

ぼくごときにそんな気兼ねなどしないでください、恐縮してしまいます! そして社会不適合の具合ならぼくもそうそう負けてはいないでしょう。
URLに気付けず申し訳ありません。これからじっくり拝見させて頂きます。こちらのブログにもリンクを張らせて頂きましたので、リンク時にはどんな文句でも書きたててやってください。
  1. 2008/05/19(月) 23:06:35 |
  2. URL |
  3. 管理人 #-
  4. [ 編集]

僕の方でも書き込んでくれてどうもありがとうございました。
いきなり何を告白するんだって感じですよね笑、すみません。
いえいえ目立つところに置いていただいて、文句なんてとんでもないです。感謝してます。
リンクしましたが、こちらこそ紹介文とかひっかかることがあったらご遠慮なく。
これからもよろしくおねがいします!
  1. 2008/05/21(水) 22:04:29 |
  2. URL |
  3. 東清高 #e6mArcUg
  4. [ 編集]

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